MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第60話

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・・・ガゴォォォォン・・・

 (…何処からか爆発音が聞こえてくる…)

それは離れた場所から聞こえてた様にも思え
障害物越しの近くから聞こえてきた様にも感じられた

 「あの~…すいませんそろそろ降ろしてもらえたらなぁと…」

右手で抱えていた緑髪の少女がそう訴えてきて
俺は少女を解放していない事を思い出す

 『…済まん…』

俺は謝罪と共に少女を地面へと降ろした

 「いえ僕の方こそ助けられたみたいで…有難う御座います」

少女は俺の方に丁寧に頭を下げ礼を述べてくれた

 『…いや…俺が勝手にした事だ…礼には及ばん…』

 「…正直に言うと状況が良く解かってませんけど…
  それでもあのままだったら危なかったのは僕にも解かります
  えーと……僕はフレイアって言います」

少女が名乗った事で俺の名を聞いている事を理解する

 『…スルトだ…』

俺も自分の名を名乗り

 『…汝は何故此処に…?』

この場に現れた少女の事情を問う

 「僕達は西地区へ向かってたんですが
  この景色になった途端みんなとはぐれてしまって…」

 『…此処は南東地区の軍港だが…』

 「あぁ…だから潮の匂いがこんなに…」

 『…それで皆とは…?』

 「あっ店で僕と一緒に座っていた叔母ともう一人…えーと…
  …知り合い……かな?」

 『…その二人と逸れたという訳か…』

 「はい…」

 (…この空間の原理は解からないがあのアークズの男が言った事が本当なら…)

 『…海から離れた方がいい…』

 「えっ?」

・・・ヴンッ・・・

俺は具現させたストームブリンガーで少女の頭の上を凪いた

・・・ブシュゥゥ・・・!!

少女の後に立っていた異形が紫の液体を撒き散らし崩れ落ちる

 「え?…え?…ええぇぇぇ!?」

俺の剣撃の風圧で少しばかり髪が舞ってしまった少女は
目を見開き一瞬硬直するが異形の存在に気付くと驚きの声をあげる

 『…済まん…驚かせた…』

 「い…いえ…」

少女はまだ少し固まっていたが周りには不穏な気配が集まり始めていた

 『…闘えるか…?』

 「はっ…はい!…ってあれ?…そういえば冥皇丸…
  まだ受け取ってないですよシルヴィ叔母さぁぁぁぁん!?」

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――――北地区――――

 「あっ冥王丸渡し忘れてる」

 「バカかお前は」

 「うっさいわね!第一フレイア探しててなんでアンタが出てくるのよ!」

 「それはこっちの台詞だ!西地区向かったお前が此処に居るんだ!?」

 「こっちが知りたいわよ!突然回りの景色が歪んだと思ったら
  横に居たフレイアも後に居たオマケも消えたのよ!
  ……空間が捻じ曲がってたんだわ…」

 「空間が歪む…?」

 「多分結界の一種だとは思うんだけど…」

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――――再び南東地区軍港――――

 「ああぁぁぁぁ…」

事情がよく解からないがどうやら秋子の店で同席していた
叔母が彼女に武器を渡し損ねたらしい

 『…大剣でよければ一振り貸すが…?』

ストームブリンガーはともかくモーンブレイドなら暴れはしないだろう

 「いえ…僕、大剣慣れてないんで」

そういえば先程『冥皇丸』と言っていたな…武器名だとすれば…

 『…汝…侍か…?』

 「いやサムライなんて呼ばれるほどじゃないですけど
  刀の扱いが1番慣れてると思います」

 「ならばワシのを貸してやろう」

・・・ヒュ・・・

 「わっ!?」
  
・・・パシッ・・・!

重い声と共に一振りの刀がフレイアの手元に飛んできた

 「それでは不服か?」

 「い…いえ助かりますけど…」

 『…汝は…?』

声と刀が飛んできた方を見るとそこには緑の法衣に身を包んだ
老年のフォーマーと黒いレイキャシールが立っていた

 (…さすがに先程のレイキャシールでは無いようだな…)

 「後にしろ、先に回りの奴らを始末してからだ
  シノ援護は任す…だが無理はするなよ?」

 「それはわたくしの台詞ですネフ」

そう言ってシノと呼ばれたレイキャシールは両手に持つジャスティスを構えた

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